皆さん、小説読んでますか?
漫画ばかり読んでちゃいけませんよ!
そんな母親みたいなことを言いつつ、今回紹介する作品は、古ーい小説です。
嵐の二宮君が主演の映画にもなったので、知ってる人は知ってるかも?
完全犯罪を目指している時点で真逆な気もしますが、青春小説だと思っています。
少なくとも私は。
粗筋
粗筋は以下の通り。Wikipedia抜粋です。
湘南に住む櫛森秀一は名門高校に通う優等生。ある日、10年前に母と離婚した養父、曾根が現れた。横暴な曾根から家族を守るため、秀一は法的手段に訴えたが、大人の社会の仕組みは、秀一のささやかな幸せを返してはくれなかった。母親の体のみならず妹にまで手を出そうとする曾根に、ついに秀一の怒りは臨界点に達する。
激しい怒りは、静かな激怒へ変わり青い炎が、秀一の心に燈った。自らの手で曽根を殺害することを決心した秀一は、完全犯罪を計画する。
何というか、純粋なんですよね。
主人公の秀一君は、こっそりお酒を買って飲んだりするなど少し不良的な部分もあるものの、優等生な普通の高校生。
優等生と言うか、勉強もできますが機転も効く頭のいい子って感じです。
また、母親や妹に対し細かな気遣いのできる、家族思いで情の厚いところも持ち合わせています。
そんな平凡だけど幸せな日々を暮らしていたある日、母親と離婚した元養父である曽根という男が姿を見せます。
こいつがまた絵に描いたような屑野郎で、働かずに家に居着いて酒を飲んでばかり。また、決して裕福ではないのに金を無心し、遊興に耽る曽根。
こんなクズが家に居着いてしまうと、家族がめちゃくちゃにされてしまう。
そう思った主人公は警察に言うも、まともに取り合ってくれず。
そうこうしているうちに、曽根が母親に性的暴行を加えていることを知り。
堪忍袋の尾が切れた主人公は曽根を殺すことを決心します。
表題にある青い炎とは、この時の激しい怒りではなく、静かな、けれど深い怒りということを表現しています。
作戦名プリッツ
さて、曽根を殺す事を決めた主人公ですが、普通に殺してしまっては警察に捕まってしまいます。
家族が以前のように穏やかに暮らすことが目的なのに、自分が殺人犯として捕まってしまったら本末転倒。
穏やかに暮らすどころか、殺人犯の家族として心休まない生活を強いられてしまうでしょう。
そこで、あくまで殺人ではなく事故として見せかけれないか、様々な案を考える主人公。
その中で、医療用の鍼で心臓に電流を流し、感電死させる事を思いつきます。
アリバイ工作も行い、無事曽根を殺すことに成功した主人公。警察も殺人ではなく病死として扱い、見事完全犯罪を成功させます。
これで家族を守ることができた…そう安心する主人公。
しかしひょんなことから、疎遠になっていた昔の友人の石岡に犯罪がバレます。
バラされたくなかったら金をよこせ、ということで脅される主人公。
1人殺してしまったことで、主人公はタガが外れてしまったのか、口封じのため石岡の殺害も計画します。
作戦名スティンガー
ここから、転げ落ちるように事態は悪くなっていきます。
最初の殺人は、綿密な計画を立てることができたのに対し、今回は急場での計画なのでどこか稚拙な殺人となります。
殺害には成功するものの、案の定警察からは疑われてしまい、更には最初の殺人すら主人公の手によるものでは?と再捜査までされてしまう始末。
友人達からも怪しまれ、こんな筈ではなかったと後悔する主人公。
しかし、最早どうしようもなく、どんどん追い詰められていきます。
被疑者死亡
そして、警察から取調べを受ける段階になって、主人公はもう逃げられない事を悟ります。
ここで自分が捕まるとどうなるのか?
マスコミからは面白おかしく取り上げられ、守ろうと思った家族に迷惑がかかる…
どうすればこの場から逃げられるか模索している中、ひょんなことから警察もまだ決定的な証拠があるわけではないことに気付きます。
しかし、それも時間の問題。逮捕されてしまってはもう手遅れ。
そして、被疑者のまま死んでしまえば、警察はそれ以上捜査をしないことから、事故と見せかけて自殺することを決意します。
そして、最期はロードバイクを海沿いの道を猛スピードで走らせ事故に見せかけて…というところで終わりです。
終わりに
うーん、なんかこうやってみると短絡的なクズに見えてしまいますが…
主人公のミスは、なまじ最初の殺人が上手くいってしまったことで、二人目の殺害を安易に決断してしまったところでしょうね。
百歩譲って家族を守るために屑親父を殺すのは仕方ないかもしれませんが、昔の友人まで口封じに殺してしまうのはちょっとね…
そりゃ、短期間に身近な人間が二人死ねば怪しまれますよ。
ただ、自分が殺人犯として捕まったらどうなるか?守ろうとした家族がマスコミのおもちゃにされてしまう…
それならいっそ…という純粋さがまた青春っぽくていいんですよね。
いえ、内容は全く爽やかでは無いのですが。
最後に事故死に見せかけて自殺を図るところとか、馬鹿だなぁと思う反面、純粋さを感じてしまいますね。
純粋な心を忘れてしまった悲しい皆様にも是非見て欲しい作品です。
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