「すまないが、君との雇用契約は今年いっぱいにしたい」
ある日突然、上司に呼び出され。
会議室でこんなことを言われたら、どう思いますか?
長年勤めていた会社から、あっさりクビを宣告された私。
入社してから十数年。
毎日毎日頑張ってきたのに、もういらないと言われ、あっけなくリストラ。
その一方的な通達に激怒した私は、即日辞表を叩きつけて、そのまま会社を去ることに。
幸い、貯金が数千万円あるので、これを機にセミリタイア生活をして、好きに生きることを決意。
一方、私を追い出した会社は後になって知ることになる...
実は、私が会社の重要書類が漏洩しないよう、全てシュレッダーにかけていたことに!
シュレッダーの使い方が分からない人間たちに、会社の機密は守れない。
商品の原価や、リコール隠しがばれてしまったことで、会社は倒産の危機に。
ようやく事の重大さを悟った会社は、慌てて戻ってきてほしいと言ってくるが、もう遅い。
私は、FIREインフルエンサーとして、幸せに生きていくのだった!
小説家になろう
気が狂ったかと思いましたか?
いえ、冒頭のは、今度書こうと思っている「なろう小説」のあらすじです。
皆様ご存じのネット小説の大手サイト「小説家になろう」。
玉石混交ではあるものの、商業作品に勝るとも劣らない小説を無償で読めることから、ネット小説界の雄として存在感を発揮しています。
しかし...そんな「なろう」もいつしか商業化の波に吞まれ。
売れれば良いという風潮が蔓延り、投稿されている作品のストーリーはどれも似たようなものばかりになってしまいました。
金金金!
どいつもこいつも書籍化目当て、金目当て!
クリエイターとして恥ずかしくないのか!
禁欲に塗れてしまった卑しい豚どもが!
そんなに金が欲しいのか!全く嘆かわしい!
...そんなに、儲かるのかな?
私もお金欲しーの
やっぱ、世の中金ですよね。
世間に逆行する俺かっけーするより、素直に乗るしかない、このビックウェーブに。
ということで、事務職になり時間にも余裕が出来たことから、この機会に薄汚い金儲けにいっちょ便乗したいと思う今日この頃です。
ただ、実際になろう小説を書くにあたり、どのジャンルにするのか?は悩みどころ。
異世界転生系やもいいですが、やはり、最近のトレンドは、根強い人気のある追放系でしょうか。
追放系とは、大体
・パーティーやギルドから役立たずと言われ、追放
・実は、大事な役割を担っていた
・組織崩壊
・ざまぁ
という流れの小説。
お手軽に読者の承認欲求を満たしてくれる、需要のあるジャンルです。
ただ、今更テンプレ追放系を書いたとて、書籍化&金儲けは難しい...
二番煎じどころか、何千番煎じは流石に厳しいとも思います。
うーむ、どうしようか...
そうやって悩んでいる時、ふと、私の灰色の脳が囁いたのです...
ファンタジー世界ではなく、現実世界の追放系を書けばいいんじゃね?と。
現実世界の追放者
そうと決まれば話は早い。
追放系小説をファンタジーから現実に置き換えてみたら、大体以下のようになると思うんですよね。
・会社を首になりました
・実は会社の大事な役割を担っていた
・社長は土下座し、戻ってきてほしいと懇願
・だが断る
こんな感じで、プロットを組めばあら不思議。
現実世界追放系小説の出来上がりです!
最初は、
「長年勤めていた会社を首に。でも、会社の基幹システムのマクロを組んだのは私でした。今更後悔してももう遅い」
とかにしようと思ったんですよ。
なろう小説のメイン読者層は、何の根拠もありませんが恐らくニートやフリーター(偏見)
ニートは、何故かIT系に謎のあこがれを持っていますからね。
このタイトルにすれば、食いつきがいいでしょう。
無能と思わせて有能と思わせてやっぱり無能
でも、調べてみたら、マクロ無双は既に似たような内容があったので、残念ながらこのプロットは没。
あれこれ考えた結果、面倒くさくなってきたので、じゃあいっそのことシュレッダー係で良くね?と思ったんです。
追放されたものの、実は陰の実力者だった...
と思わせておいて、本当にガチの無能だった。という設定。
ふふふ、誰も書いたことのない、全く新しいタイプの追放系小説。
全ての追放系作品を過去にする、まさに天才しか書けない作品。
これで、私も一躍有名な小説家の仲間入り。
嗚呼...自分の才能が怖い...!
終わりに
誰もやらなかった=凄い。
そう思っている時期が、私にもありました...
奇抜な作品がこの世に出てないのは、単に
「先人も思いついたけど、敢えてやらなかった」
だけ。
王道作品が面白いのが何故なのか分からない人間に、クリエイターを名乗る資格はないんだよなぁ...
凡人には、インターネットの片隅で、便所の落書きのようなブログでも書いてるのがお似合いですね。
ま、楽して稼げる方法なんて、詐欺か宗教ぐらいしかありません。
地道に頑張りましょうか。