ブシャーーー!
敵を倒した時に飛び散る血が印象的なこのゲーム、マイナー中のマイナーゲームなので殆どの人は知らないのでは?
このゲーム、クソゲーという評価もありますが私としてはマイナス面を補って余りあるストーリーが秀逸な名作だと思っています。
まぁそのストーリーとは、現実以上に悲惨というか、製作者は何か最近辛いことでもあったの?と思うようなイベントばかり目白押しですが。
今日はそんなヴァンダルハーツ2をレビューしたいと思います。
悲惨なストーリー...
そもそも、オープニングからして強烈ですよ。
とある街全ての住民を虐殺するシーンから始まりますからね。
また、暗がりに若い娘を引き摺り込む兵士達の姿も…いや生々しいな!
で、その街が一体何をしたかというと…政治犯を匿ったから、という理由だけでですよ。
いやいや、政治犯を匿っただけで住民全員皆殺しとか、鬼かと。
そんな荒れている政情の国で、農民として主人公は生まれるんですが、これがまた悲惨で…
序盤で主人公は行き倒れの人を助けるんですが、そのせいで住んでいる町から追い出されるわ、幼馴染みに逆恨みされるは、住んでた街は滅ぼされるわで、いったい俺が何をした?状態になります。
その後、主人公は生きる為にやむなく盗賊になるんですが、とある街で偶然妹と再会するも、その妹もまた生きる為に娼婦になっているわ、昔の親友はそのヒモになってあるわ…
おそらく主人公の前世は凶悪なテロリストだったのでしょう。
じゃなきゃあまりにも悲惨すぎます。
エンディングもまた悲惨...
エンディングも4つあり、子供のころの幼馴染が何人生き残るか?で変わっていきます。
でも、最初はまず救いようがない結末を迎えることになります。
勿論、仲間が誰も死なないベストエンディングもあるにはありますが、まず初見では辿り着けない。
難しいしめんどくさいので大体誰か死にます。
しかし、そうやって大体の人が辿りつくエンディングである旅人エンドは、一見の価値はありますよ。
色々なものを犠牲にしてしまった後悔から、放浪の旅を続ける主人公…
ふと、昔幼馴染みの子と駆け落ちの約束した丘で、子供の頃の楽しかった思い出に浸りながら一人佇んでいる姿は、寂寥感が満載で誰しもが鬱になれることでしょう。
あと、全員死んでしまった場合のエンディングも凄いですよ。
誰も信じず、殺戮と恐怖をばら撒く皇帝として君臨するという、なかなかの仕上がりになってます。
悲惨すぎません?
システム面もちょっと悲惨...
このように、悲惨なストーリーが見たい方にはぜひともオススメな本作ですが、ちょっとばかしお勧めできない面もあります。
具体的には
おしむらくは戦闘システムが大味でだるいことと、絵がちょっと…ごつい?感じなことです。
本作の戦闘システムはまぁターン制のよくあるSRPGですが、こちらが動くと同時に敵も動くという、デュアルターンバトルを採用しています。
これがまぁ面倒くさい。読みあいを楽しむとか言われていますが、単純にこちらの攻撃は空振りするシーンが出てくるので戦闘のテンポが遅くなるんですよね。
まぁ、私がへたくそなだけなのかもしれませんが。
SRPGの戦闘システムといえば、ベルウィックサーガが完成形と思っている私としては、マイナス評価です。
次に、グラフィックです。
パッケージと違い過ぎるでしょ!と誰しもが突っ込んだであろうそのグラフィック。
一言でいえば...なんかごつい?
男はともかく、女性キャラがかわいくないのは致命的でしょう。
かわいくないというか、ごついんですよね。全体的に。
なんでこんなキャラデザにしたのか?
音楽はそこそこいいので、本当にもったいない点だと思います。
終わりに
とまぁ文句も言いましたが、それ以上にシナリオが素晴らしい。
シナリオだけで言えば、不朽の名作であるタクティクスオウガよりも良いのでは?と思うぐらいです。
これで、戦闘システム面やグラフィックがベルウィックサーガレベルであったら、ゲーム史に燦然と残る名作として扱われていただろうに...
何とも惜しい作品です。
現実がおままごとに見えるぐらい悲惨な世界を味わいたい方は、是非ともプレイしてみて下さい。